銀行の秘密(2)

宝貝は美しい色艶をしていて、堅く、粒も揃っていて、
ネックレスなどのアクセサリーとして大切にされ、
誰もが欲しがる貴重な物でした。

皆が欲しがる価値ある物だからお金として通用したのです。
こうして、宝貝はお金として世界的に広く使われたのです。

資源の「資」
財産の「財」
売買の「買」
貯金の「貯」

など、お金に関する漢字に「貝」がついているのは、その名残です。

やがて鉱山の発掘技術が発達し、宝貝から「金」・「銀」・「銅」等の貴金属が
お金として使われるようになります。

なぜなら、貴金属は品質が劣化せず、且つ分割が容易、しかも持ち運びにも便利で、
長い時間が経っても価値が変わらない・・・という特徴があったからです。

さて、この頃になると、金属そのものがお金として使われたので、
取引の度に重さを計ったり、純度を調べたりする必要がありました。

そこで、大きさや重さ、純度がきちんと決められた
鋳造貨幣(コイン)が造られるようになったのです。

交換価値の基準となる重量や純度が一定のコインは、
権威と信用のある国王(政府)が造る権利を持ち、
且つ「誰にどれだけお金を分配するか」も決めることができました。

この権利のことを「貨幣発行権」と呼びます。

この権利がどれだけ大きな権力を持つことができるようになったか?

人々は取引の時に、その対価に相当するコインを支払い、
なかでも最も価値の高いお金は金貨でした。

当時の人々は、金貨を強盗や泥棒から守るために、
大きくて立派な金庫を持つ「金細工師」に、お金を預けるようになります。
この大きくて立派な金庫を持つ金細工師は、
金貨と引き換えに「預り証」を渡し保管料を貰っていました。

金貨を預けた人々は何か物を買う時だけ、金細工師に預り証を渡し、
引き出した金貨で物を買います。

一方、代金を受け取った売り手も、金貨を泥棒に盗まれまいと金細工師に預け、
預り証を受け取っていたのです。

しかし、よく考えてみると、預かり証を持っていき、
金貨をわざわざ引き出さなくても、買い手は直接、
売り手に預り証を渡せば結果的には同じことです。

人々は次第に金貨を使って取引きするより、
預り証で取引きする方が便利で安全であることに気づいたのです。

そして、この預り証が通貨の役割を持つようになったのです。
この預かり証が「紙幣」の始まりというわけです。

こうして人々が紙幣で取引きし始めると、
金細工師の金庫の中にある金貨は眠ったままとなります。

預金者たちが一斉に金貨を引き出しに来ることはありません。
となると、もっと沢山の預かり証(紙幣)を発行し、
お金に困っている人に貸し付け、利子で儲けを出すことができるのではないか?
と考えたズル賢い金細工師がいたのです。
その金細工師は、それをビジネスとして始めることになります・・・

これが「銀行業」の始まりなのです。

この時からお金は、銀行から融資を受けた時に創られるようになったのです。
これを「信用創造」といいます。

しかし、金庫に眠っている金貨は実際は金細工師の物ではありません。
お客の物を勝手に元手として紙幣を貸し出しているのですから、これは立派な詐欺です。
でも、このことは秘密裏にされていたため大衆から非難されることはありませんでした。

ただ、稀に困ったことが起こるようになります。
それは、何らかの理由で預金者たちが預り証を持って、
預けている金貨の返却を大量に求めてきた時です。

実際は金庫に眠っている金貨以上の紙幣を発行しているわけですから
返却に応じられなかったのです。
これが教訓となり、その後は銀行家同士で金貨を融通し合いその場を凌いだのです。
その銀行家の手から一時的に離れた金貨も、結局は廻り回って帰ってくるので、
融通し合っても何の心配もなかったのです。

そして、このような詐欺的行為がバレないように
銀行の秘密性はどんどん高まっていったのです。

こうして時代を経て、国々が貿易によって交流が深まり、
世界中で通貨システムが統一されていったのです。
世界の国王たちは、銀行家が大量のお金を持っていると信じていたので、
国家にお金が必要な時は銀行家から借りていました。

とくに戦争をするに際には多額の資金が必要だったため、
銀行家に借りるしかなかったのです。

つまり、銀行家にとって戦争は一番儲かるビジネスでもあったのです。

たとえ戦争に負け、国王が借金を返せなくても、
借金の担保である国王の財産・土地・建物・税金等で肩代わりしてもらえるため、
戦争に勝とうが負けようが関係なしに銀行家は儲かる仕組みになっていたのです。

こうして銀行家は次々と国家にお金を貸付けるようになります。
そして、戦争の度に財産を増やし、やがて王族と血縁を結び、
貴族となって絶大な権力を手に入れるようになったのです。

貴族となった銀行家は、さらに大きな権力をもち、手持ちのお金より、
多くの紙幣を発行する権利を国王に認めてもらうことになります。

何の価値もない紙切れに、価値をつけて人々に貸し出す権利を手に入れたのです。

紙幣という紙切れを貸す代わりに、人々から、家、店、車、貴金属、宝石など
価値のある物なら何でも担保に取って行くようになり、
こうした担保が銀行家の財産になっていきました。

こうして、国家ではなく銀行家がお金をコントロールするようになったのです。
これが現在でも行われている「紙幣」と「銀行」の仕組みなのです。