ブラックホール

中性子星(パルサー)は、中性子が支えている。

では、中性子でも支えきれないくらいにまでつぶれたらどうなるのだろう。
天体の表面からの脱出速度は、
(その天体の引力を振り切り、無限の彼方まで飛んでいくことができる最低の速さ)
天体の質量が一定ならば天体の半径の平方根に反比例する。

つまり、半径が4分の1になれば2倍に、9分の1になれば3倍にと大きくなっていく。

太陽表面からの脱出速度620km・s-1である(地球表面からは11.2km・s-1)。
太陽が半径10km程度(70000分の1)にまで縮まれば(パルサー程度の大きさになると)、
その表面からの脱出速度は70000の平方根倍(260倍)。
これは光速の半分以上の1.6×105m・s-1になる。
さらに、半径が3km(太陽の半径の230000分の1)程度にまで縮まってしまうと、
脱出速度は230000の平方根倍(480倍)の3.0×105m・s-1にまでなってしまう。

3.0×105m・s-1といえば、これは光の速さ(光速)である。
つまり、太陽程度の質量の恒星が半径3kmよりも小さく縮んでしまうと、
その表面からは光速でも飛び出すことはできなくなる。

この宇宙は光速よりも速いものはないという宇宙である。
つまり、光もその仲間である電磁波、あるいは重力などが伝わる速さが
この宇宙では一番速く、それ以上のものはないし、どんなに工夫をしても、
あるいはエネルギーを与えたも、そうした速さを越えることはできない。

つまりそれほどまでに縮んでしまった天体の表面からは、
光を含めて何も出てくることはできない。これがブラックホールである。

ブラックホールの中の一切の情報はわれわれには永遠に届かない。
つまり、その中の世界はわれわれとは無関係なものである。

ブラックホールからは何も出てこないので、もちろん見ることはできない。
しかし、ブラックホールの回りのガスがブラックホールに落ち込みとき猛烈に熱せられて、
その超高温のガスが発する電磁波(超高温の物体から出る電磁波はX線)がある。
つまり宇宙に強いX線源があれば、その近くにブラックホールがある可能性がある
ということになる。その候補の一つとして、白鳥座X-1というX線源があり、
その近くにはブラックホールがあるのではないかといわれている。

もしかするとわれわれ銀河系の中心部にも、
巨大なブラックホール(大質量ブラックホール)があるのかもしれない。

 

参考サイト
山賀 進 『われわれはどこから来て、どこへ行こうとしているのか、そしてわれわれは何者か』