太陽系 惑星

水星

水星の半径(2440km)は、惑星の中ではめい王星(半径1137km)に次いで小さい。
また、衛星は持っていない。

水星には大気・水がない。
このために表面は浸食されずに月のように無数のクレータが残っていて、それにおおわれている。
ただし、月の海のような広い玄武岩の平地はない。
また、大気や水がないために、太陽に面した側と反対側での温度の差が大きい。
昼の側は400℃を越えるが、夜の側は-170℃以下にまで下がる。
400℃といえば、スズ(融点232℃)、鉛(融点328℃)が融け、
亜鉛(融点420℃)が融けるかもしれないという温度である。
また-170℃といえば、液体窒素の沸点(1気圧で-196℃)に近い。

水星の核は、水星の全体積の70%(地球の核の体積は地球の全体積の16%)を占め、
月の大きさに近いと考えられている。
この金属核が存在するためか、水星は非常に弱い(地球磁場の1%)ながらも磁場が存在する。

Mercury:ローマ神話では、商業と泥棒の神(ギリシャ神話ではヘルメスに相当)。
また、Mercuryは水銀でもある。
水星の天球上の動きが速い、また水銀も動きの速い物質ということで、語源は同じである。
さらに、merchant(商人)、market(マーケット)にもつながる。

 

金星

金星は太陽、月に次いで明るく見える。
金星は明けの明星、あるいはよいの明星として見えるが、
すでにギリシャ時代にはこれは同じ天体であることはわかっていた。
金星は東方最大離角付近にあるときには、夕方西の空に宵の明星として見え、
西方最大離角最大離角付近にあるときには、明け方東の空に明けの明星として見える。

金星には磁場がなく、また衛星もない。

金星は地球と双子の惑星ともいわれる。
内部構造は地球に近いものと思われる。
しかし、金星の表面の様子は地球とはまったく異なる。

金星はいつも全部が雲に覆われている。
ただし、地球の雲は細かい水滴か氷晶であるが、金星の雲は濃硫酸の粒である。
金星の大気は、スーパーローテーションと呼ばれる運動をしている。
また、金星の自転は地球とは逆方向である。

Venus:Venusはローマ神話では美と愛の女神である(ギリシャ神話のアフロディテ)。

 

火星

火星は太陽からは4番目の惑星で、軌道の離心率が比較的大きく
太陽にもっとも近づくときと、もっとも遠ざかるときの差が大きい。

火星の赤道半径は3396kmであり地球の半分程度、質量は1/10程度である。
これは、金属でできている核の相対的な大きさが、地球より小さいためだろう。
表面重力は地球の0.38倍であり、この表面重力では、
火星の位置でも大気をつなぎ止めておくためには十分でなかったと考えれる。

火星が赤く見えるのは、表面が赤い砂におおわれているためである。
これは酸化鉄の色で、昔、大気に酸素があったのかもしれないが、
このような形で地表に固定されてしまっている。
火星全体は大きくいうと、赤い砂におおわれた砂漠であるといえる。

極地方には極冠という白いものが見られる。
これは氷(H2O)だけではなく、大気の主成分である二酸化炭素が低温のために
ドライアイスになったものも含まれている。

この薄い大気でも、表面の砂を巻き上げて、
火星表面を覆うような大規模な砂嵐を起こすことがある。
またこの薄い大気中に雲が浮かぶこともある。

赤道付近にはタルシス高原という、巨大火山が並んでいる高地がある。
その西の端には太陽系最大の火山といわれるオリンポスがそびえている。
オリンポスのすそ野の直径は600km(東京-神戸を越える、面積ではイギリス以上になる)
高さは26000m、火口の直径は80km(この中に富士山が入る)というものである。
なぜかすそ野の端は7000mの断崖となっている。
タルシス高原を形成する火山群は、ハワイなどと同じ盾状火山である。
しかし、地球最大の火山というハワイ島ですら海底から測っても高さ9000m、
体積にするとオリンポスの1/10でしかない。
小さい火星に、なぜこのような巨大な火山が存在するのかも謎である。
ただし、これらの火山はすべて数億年前以上には活動を終えている。

火星にはまた、タルシス高原の近くにマリネス峡谷という“峡谷”がある。
長さ5000km、最大の幅200km、深さ7000mという巨大なものである。
この“峡谷”は、侵食作用でできたものではなく、大規模な地殻変動でできたものである。
ただし、マリネス峡谷に流れ込むたくさんの小さな溝は、流水の働きでできたと考えられる。

流水によると思われる地形は他にもあり、かつて火星表面には水(液体)が存在していた、
水が存在できる時代があったとおもわれる。
今でも地下には水(地下水)があって、それが浸み出してつくったと考えられるような地形もある。

火星にもクレータはあるが、月や水星のクレータと異なり、かなり侵食を受けている。

Mars:ローマ神話ではMarsは軍神(ギリシャ神話ではアレス)。
赤い色が血を連想させるのであろう。
ちなみに、夏によく見える星座であるさそり座の中の一番明るい恒星は、
火星と同じように赤いアンタレスであるが、
これはアンチ・アレス(火星に対抗するもの)という意味である。

 

木星

木星は太陽系最大の惑星である。
ただ、半径が地球の11倍(体積では1000倍以上)あるのに、質量が320倍ということは、
密度が地球よりかなり小さいことを示している。
木星の密度が小さいのは、木星は地球型惑星のような岩石(マントル)と金属(核)
というものではなく、水素とヘリウムを主成分とするガスの惑星(木星型惑星)だからである。
木星は巨大な質量を持っているので、表面重力も地球の2.37倍と大きい。
また太陽から遠く表面温度が低いので、水素やヘリウムといった軽いガスを保持できるのである。
木星は水素90%、ヘリウム10%で、この二つでほとんどを占めている。
あとは、微量のメタン、水、アンモニア、
さらに中心部は氷と岩石の核が存在していると考えられている。

木星はガスの惑星といっても、その中は超高圧になっているので、
水素は液体に、さらに液体金属状態になっていると思われる。
木星には強い磁場があり、また、強い放射能帯も持っている。
これは木星探査機を送り込むときの障害になる。
また、強い磁気は極地方の明るいオーロラを作り出す。

液体金属水素とは、つまり金属と同じ状態になって、伝導体になる。
この液体金属水素の存在と、高速の自転が電流を作り出し、そ
れが木星の強い磁場(地球の1200倍の磁気圏を持つ)の原因と考えれている。

木星はガス体で、縮むことによって熱を今でも出している。
この木星内部から出てくる熱は、太陽から送られてくるエネルギーよりも大きく、
中心部の温度は数万℃に達していると思われる。
もちろんこれは太陽のような核融合反応の熱ではない。
ただ、もし木星の質量があと50~100倍程度あれば核反応が始まり、
第2の太陽になったともいわれている。

木星は発見されているだけでも60個以上の衛星をもっている。

Jupiter:ローマ神話では神々の中の王である(ギリシャ神話のゼウス)。

 

土星

土星でもっとも目立つのは、その壮大な環(輪)である。
環であることを確認したのはオランダのホイへンス(オランダ、1629年~1695年)で、
1655年のことである。

土星本体の大きさは、木星に次いで太陽系2番目の惑星である。
地球の9.4倍、体積では1000倍近い数値であるが、質量は地球の95倍しかない。
これは土星の密度が小さいことを示している。
これは水の密度より小さい(水に浮いてしまう密度)。
惑星の中で最小である。

土星も木星と同じく、内部から流れ出てくるエネルギーの方が、
太陽から送られてくるエネルギーよりも大きい。

土星の主成分は木星と同じく水素とヘリウムで、
この水素が高圧に達している内部では液体金属水素になっていると思われる。
そして、高速の自転と相まって、木星のように強い磁場を持っている。
木星と同じように極(磁極)のまわりにオーロラが見られる。

土星には30個以上の衛星が発見されいる。
中には環に影響(引力)を及ぼしてその形を支配している
“羊飼い衛星”と呼ばれているものもある。

そうした惑星の中で、もっとも注目されるのは土星最大のタイタンであろう。
木星のガニメデに次ぐ太陽系2番目の衛星であり、水星よりも大きい。
そして何よりもタイタンには、ちっ素を主成分とする濃い大気を持っている。
大気にはまたメタンやエタノールも含まれている。
さらに、水蒸気の存在も確認されている。
タイタンの大気の上部には、メタンと太陽光が反応してできたと思われる
オレンジ色の分厚い赤いもや(スモッグ)があり、
タイタンはそれにおおわれているので表面を見ることができない。
氷を主成分として、内部に岩石の核がある天体だと思われる。
木星の衛星エウロパと並んで、生命が存在する確率が高いと思われている。
また、地球以外でちっ素を主成分とする唯一の惑星・衛星である。

Saturn:ローマ神話では農業の神。ギリシャ神話ではクロノス。クロノスはゼウスの父。

 

天王星

水星、金星、火星、木星、土星の5つの惑星は古来から知られていた。
つまり、太陽や月の「発見者」がいないように、これら5つの惑星の「発見者」はいない。
しかし、天王星以降の惑星には発見者が存在する。

発見したのはウィルアム・ハーシェル(ドイツ→イギリス、1738年~1822年)で、
1781年のことであった。
彼は偶然にこの惑星を見つけたときは彗星と思っていたが、のちの観測で惑星とわかり、
当時のイギリス国王に敬意を表したジョージ星と名付けた。
しかし、ボーデ(チチウス-ボーデの法則のボーデ)が、他の惑星と同じく
(ギリシャ・ローマ)神話からとろうということで、
「天王星」を提案し、これがその後受け入れられた。

天王星の組成・構造は、木星や土星と少し異なりガスの割合が少なく、氷が主体である。
中心部は岩石(融けている?)、そのまわりを氷(H2O)やメタン、アンモニアがおおっている。
大気は水素とヘリウムにメタンがかなり混じっている。
そのメタンが太陽光から赤い色を吸収するので、全体として緑がかった青色に見える。

天王星の大きな特徴は、自転軸が公転面に対してほぼ横倒しのまま
自転しているということである。
天王星にも地球程度の磁場があるが、この双極子の傾きは自転軸と60°も傾いている。

9本の環が存在している。
環の存在は木星型惑星の共通の性質ということになる。

Uranus:ウラヌスはギリシャ神話の天空の神であり、
ゼウスたちオリンポス族の前に君臨したタイタン族の長である。

 

海王星

天王星が発見されてしばらく観測を続けると、その軌道がどうもニュートン力学から
予想されるものとはずれていくことがわかった。
このずれは、天王星の軌道の外側にまだ未知の惑星があって、
その引力によって天王星の軌道が乱されるためだと考えて、計算したのが
イギリスのアダムスとフランスのルベリエであった。

実際に発見したのはベルリン天文台のガレであった。
彼はルベリエの捜索依頼を受け入れ、実際に捜索を初めてすぐに見つけたという。

海王星は、天王星とは双子の惑星といっていいほど似ている。
海王星の組成、内部構造は天王星とほぼ同じだと考えられている。
大気は水素が主成分で、その他ヘリウムとメタンが含まれている。
このメタンが太陽光線から赤色成分を吸収するので青く見える。
海王星は地球をのぞけば太陽系で一番青い天体かもしれない。

また、他の木星型惑星と同じく環(輪)を持っている。

Neptune:ローマ神話では海の神様(ギリシャ神話ではポセイドン)。
三つ叉の矛を持っている。

 

冥王星

1930年3月13日に発見し、従来めい王星は9番目の惑星とされてきた。
ところが、2006年8月24日の国際天文連合の決議により、めい王星は惑星ではなく、
準惑星 の一つ、また典型的な太陽系外縁天体の新しい種族の典型とされた。
さらにこうした天体をめい王星型天体と呼ぶことも決まった(2008年6月)。
冥王星の質量は小さすぎて、海王星の軌道を乱すほどではなかった。

Pluto:プルートは冥界(死者の国)の王の名である。
太陽から非常に遠く暗いのでこの名が付いたと思われるが、
生涯をかけて第9番惑星を探し続けたローウェルの(Percival Lowel)
頭文字を意識したのかもしれない。
なお、カロンは「三途の川」の渡し守。

 

参考サイト
山賀 進 『われわれはどこから来て、どこへ行こうとしているのか、そしてわれわれは何者か』

 

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